語彙力が足らなくなる- 江國香織「神様のボード」

私がオススメしたい本の一つが、江國香織さんの「神様のボート」です。

客観的視点のない構成で主人公ら登場人物の感情がありのまま伝わってくるのがこの作品のいいところだと思います。

あなたはこの作品を読んで、ハッピーエンドで終わりますか?それともバットエンドで終わりますか?

昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生まれた。“私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子”。必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す。“私はあのひとのいない場所にはなじむわけにいかないの”“神様のボートにのってしまったから”――恋愛の静かな狂気に囚われた母葉子と、その傍らで成長していく娘草子の遥かな旅の物語。

新潮社-神様のボート-

江國香織さんについて

江國 香織(えくに かおり)さんは1964年生まれで、代表作に『きらきらひかる』『落下する夕方』があり、数々の賞を受賞している経歴があります。小説家、児童文学作家、翻訳家、エッセイストなど様々なジャンルで活躍し、繊細で細やかな表現や女性の心理描写の表現が美しいことで有名です。

あらすじ

葉子は、音大生時代の教授である桃井先生と卒業してすぐに結婚。その後「あのひと」と出会い、「骨ごと溶けるような恋」をして草子が生まれます。

草子が生まれて間もないとき、あの人と離れることになり葉子は東京を出ていきます。

葉子は離れる前にあの人に言われた「信じてほしい。一瞬でも疑わないで。俺は必ず葉子ちゃんを探しだす。どこにいても。すこしのあいだ離れなくなくちゃならないけど、どこにいても一緒だし、かならず戻ってくる。すぐに」という言葉を信じて草子と日本のいろんなところを転々と引越しながら生活している。

草子は成長していく中で自分の将来について考え、このまま母の葉子とこの暮らしを続けるのか考え始めます。葉子は依然としてあの人が目の前に現れることを信じて待ち続けます。

草子の人生はどうなっていくのか、そして葉子はあの人と巡り会うことができるのか。。。

感想

以下、軽いネタバレがあるのでネタバレが嫌な方はブラウザバック推奨です!

パパを待ち続ける母・葉子とその環境で成長していく娘・草子の旅の物語で、妻は夫に会えるのか、草子はどんな人生を歩んでいくのかが大きなテーマになっています。

これは本当に読んだ後に切ないとも悲しいともうれしいとも自分の知っている感情では形容のできない気分になります。。。

母親のこのパパとの”骨ごと溶けるような恋”を追い続ける熱狂的なまでの執着心をあたかも普通の出来事のように書くこの文章の作り方も、少しづつ母と娘の考えた方がずれていくところ(娘の考え方のほうが普通?)も読んでいく中で自分のとらえ方が変わる瞬間がいくつもあって読んでて心が疲れる初めての経験でした。

これはきっと読むときの自分の状態(心理的、年齢的)で物語のとらえ方が変わっていく本だと思っているので、またいつかこの本を手に取って今度こそはこの感想を自分の語彙ですべて説明できるほどの力を身に付けたいです。

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