人間の心の闇を覗く短編集-芦沢央「 許されようとは思いません 」

今回は芦沢央さんの「許されようとは思いません」についてあらすじや感想について書いていきたいと思います。前に芦沢さんの「悪いものが、来ませんように」についての記事も書かせていただいたのでそちらも参考にしていただければ嬉しいです。

「許されようとは思いません」は短編5本による構成でどれも無駄がなく読みやすい話になっていますが、人間の闇を覗くような暗い話が多いです。

目撃者はいなかった

あらすじ

常に営業成績最下位だった営業マンの葛木修哉が、その月の営業成績で好成績を残した。喜んでいた葛木だったが自分の発注にミスがあったことに気づいてしまう。

このミスを隠すために葛木は行動をしていたがその途中である交通事故を目撃してしまい、その事故の証人を頼まれてしまう。

感想

この作品では葛木の利己的な部分がクローズアップされていますが人間みなこのような部分は存在すると思わされる内容でオチも個人的にはかなり好きな作品です。

ありがとう、ばあば

あらすじ

ホテルのバルコニーに「ばあば」が孫の杏によって閉じ込められるところから始まる。閉じ込められたばあばは今までの杏に対して行ってきたことを思い出していき、こうなった原因は杏が無理やり芸能界に入らされたことだと思いつく。

子供ながらにしてなぜ杏はばあばを閉じ込めるという恐ろしい行動をしたのだろうか。

感想

この作品では杏とばあばの考え方の違いから大きく物語が変わっていきます。特に杏が何を考えてばあばを閉じ込めたのか分かった瞬間に鳥肌が立ちました。

絵の中の男

あらすじ

ある女性鑑定士のもとに、有名画家・浅宮二月の絵画だと思われる絵が持ち込まれる。

二月はかつて夫である恭一を殺害し、その殺害を目撃したのが家政婦として働いていた鑑定士本人でした。持ち込まれた絵画は二月の絵画ではないことを鑑定士は気付きましたが、それと同時に浅宮二月と恭一についてある考えが浮かびます。浅宮二月という画家の人生を回想しながら絵画の誕生の裏側について覗いていく。

鑑定士が見た殺害の真相と持ち込まれた贋作の絵画の謎について結論はどのように定まるのか。

感想

この作品は、浅宮二月という人間の不思議さが中心となります。二月の気味の悪い絵画の誕生やスランプ時期からの解消のきっかけなど常人とは違うところが多く本当の天才とはこういう感性の違いがあるのかもしれませんね。

姉のように

あらすじ

志摩菜穂子が起こした三歳の娘を虐待死させたという新聞記事から始まる物語。姉の起こした事件で私を見る目が変わっていきます。菜穂子に対しての誹謗中傷で心をすり減らし、さらに「犯罪者が家族にいる」ということから始まる被害妄想で心を病み始め娘の唯花に対して暴力を振り始めます。

肉親に犯罪者がいることをあなたはどう考えますか?

感想

私はこの作品が大好きです。これを読んだときの衝撃は忘れないだろうなと感じるくらいにゾワッとさせられました。芦沢さんの人の心情をリアルに表現できる力があるからこそここまでの作品になったんだろうなと思いました。

許されようとは思いません

あらすじ

諒一には水絵という女性と付き合っていて結婚も考えていましたが、諒一の祖母が殺人を犯しており身内に殺人者がいる人と結婚をさせたいいのかと結婚を踏み切れずにいました。あるとき、祖母のお骨を元々暮らした檜垣村に納骨することになり、諒一と水絵は檜垣村に向かいます。諒一は水絵に祖母の話や檜垣村の掟について話していきますが水絵は祖母の殺害についてある疑問が浮かびます。

祖母がなぜ殺人を起こしたのか、「許されようとは思いません」の意味とは何か。

感想

この小説の表題にもなっている短編ですが、この作品は徐々に伏線が解消されて5つの短編の中でも心が温かくなる話で今までの4つの短編で暗くなった気分を明るくしてくれます。水絵の観察力と優しさがなければ祖母の気持ちは伝わらずに終わっていたかもしれないので諒一と水絵が出会っていてくれてよかったなと感じます。

まとめ

5つの短編すべてが綺麗な構成でいて人間の暗い部分をクローズアップしていて私的にはとても大好きな作品です。順番も「許されようとは思いません」が最後で本当によかったです。「姉のように」が最後だったら心がボロボロになりそうです。

気になった方は是非手に取っていただけると嬉しいです!!

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