今回はシステムの安定稼働を目指すために必要なサービスマネジメントにおいて重要な役割を担うITILについて解説していきます。
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ITILとは
ITILとは、Information Technology Infrastructure Libraryの略称で読み方は「アイティル」、「アイティーアイエル」と読みます。
システムを効率よく安定して稼働していくための手法が集まったもので現在ではディファクトスタンダードになっています。ディファクトスタンダードとは規約として決まっているものではないが暗黙の了解的にルール・取り決めとして決まっているものを指します。
ITILは1989年に英国政府が制定しISO/IEC 20000のベースとして使われています。
ITILは下の5つの項目で構成されています。
サービスストラテジ(Service Strategy) | 組織の目的と顧客のニーズを理解するとともに、ITサービス及びITサービスマネジメントに対する全体的な戦略を組み立てます。人材やプロセス、成果物など各組織の資産がサービスストラテジを支えます。 |
サービスデザイン(Service Design) | サービスストラテジを業務目的実現のために事業要件を取り入れ、ITサービスの求められる品質や信頼性、柔軟性を設定します。 |
サービストランジション(Service Transition) | サービスデザインで具体的にした計画をサービスオペレーションで実現できるように、本番環境で動作するようにサービス及びサービス変更の実装及び本番環境での正常な動作ができるかのテストを行います。 |
サービスオペレーション(Service Operation) | 顧客やユーザなどへの価値実現のために、ITサービスを効果的かつ効率的に提供しサポートします。 |
継続的なサービス改善(Continual Service Improvement) | ITサービスとITサービスマネジメントプロセスに対する改善を義務として、より良いサービスを目指すために総合的に顧客の価値を新たに創造する。 |
ITILの「4つのP」
ITILはITサービスの創造の際に「完璧なものを目指さず、どの程度までサービスレベルを許容するか」を決めるのですが、その際に大事になってくるのが「プロセス(Process)」「人(Person)」「製品・技術(Product)」「パートナー(Partners)」のバランスになります。
プロセス(Process)
ITサービス改善の目的を設定し改善プロジェクト体制を構築します。その後、ITサービスの分析や調査から改善課題を明確化してITサービスの運用方法や手順書の改善を目指します。
人(Person)
プロセスを実現するのに必要な役割や人材像を決めます。ITサービスの提供・改善のために必要なスキル向上の研修を人員に行います。
製品・技術(Product)
プロセスの効率的な実行、データ連携、単調な作業の自動化による作業ミス削減ができるツールを活用します。
パートナー(Partners)
定型的な監視作業や業務の運営を委託先やベンダーにアウトソーシングすることにより、さらなるサービスの提供やサービスの改善に注力します。
ITILの合意文書「SLAとOLA」
ITILには当事者間でのサービスレベルについて明示的に記した合意文書の締結を推奨していて、その対象者に応じて、SLAとOLAが存在します。
SLA(Service Level Agreement)
SLAはサービスを提供する業者と利用する契約者(顧客)との間に締結される合意文書でサービス品質保証と訳されます。サービスの運用方法や守るべき規約、顧客に対しての制限などが文書に書かれています。
OLA(Operational Level Agreement)
OLAはサービスの提供者同士で締結される合意文書になります。例えば、ITサービスの問い合わせに対応するITサービスのヘルプデスクとなる部署とITサービスのインシデントが発生した時に修正を行うITサービスのシステム管理部があった時に情報の共有方法やインシデントの対応方法の共有などを決めるのがこのOLAになります
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