赦すとは何か。伊岡瞬「瑠璃の雫」

今回は伊岡瞬さんの「瑠璃の雫」について紹介させていただきます。

主要な登場人物

杉原美緒(すぎはらみお)

母・由佳と弟・充の3人で暮らす小学6年生。年齢の割に大人びているが、その背景には複雑な家庭環境が影響しており母親の重度のアルコール依存症や父親が家族を捨てた経緯がある。母の従兄弟である吉岡薫の世話によって生活できている。夏休みに吉岡薫の紹介で永瀬丈太郎と出会い関わっていく中で今まで閉鎖的だった心を開き始める。

吉岡薫(よしおかかおる)

喫茶店「ローズ」を経営している母の従兄弟。美緒と充を永瀬丈太郎に引き合わせ、永瀬の家で掃除の手伝いをするようになった。薫は幼い頃に瑠璃と仲がよくその繋がりで永瀬とも知り合いになっていた。

永瀬丈太郎(ながせじょうたろう)

元検事で現在は亡くなった妻が住んでいた広い屋敷に住んでいる。永瀬は検事時代に松本で勤務していた頃、一人娘である永瀬瑠璃が誘拐されており今でも行方不明となっている。

あらすじ

第一部

杉原美緒の家庭は崩壊しかけていた。父は家族を捨て、母は重度のアルコール依存症、充は生まれたばかりの弟・穰(みのる)を殺害するような家庭であり心をひどく閉ざしていた。薫の紹介で永瀬と出会い、通い続けていく中で徐々に心を開くようになる。美緒はある日、永瀬とある若い男性が会っているを目撃し調べていく中で永瀬が松本で検事として働いているときに娘である瑠璃が誘拐されており、いまだに見つかっていないことを知る。

第ニ部

永瀬丈太郎の時代の回想が書かれている。永瀬と妻、そして瑠璃の誘拐事件について迫っていく中で永瀬はある事実を知ってしまう。

第三部

杉原美緒はあるきっかけから瑠璃の誘拐事件について自ら調べ始める。そこにある真実と美緒が抱えていたある一つの謎について解明する。

感想

注意:ここから若干のネタバレを含みます。

伊岡さんらしい「赦し」をメインとしたとても重苦しいテーマのミステリーでした。救われない救われないのなかで唯一ほんの少しだけ救われる解決策、結末が少し明るくなれて良かったです。

杉原美緒と永瀬丈太郎の交わることのないそれぞれの環境が絡み合って第3部で全ての結末へと至る流れは、読んでいて救われず、悲しく、そしてやるせ無い気持ちで溢れました。

それでもこれから長い人生が待っている杉原美緒はどうにか永瀬や薫の優しさを通じて救われて欲しいです。「赦す」とはどのような行為なのか、何を持って赦すのか、永瀬と美緒を見て考えさせられました。

コメント

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